思うがままにつづったこころの中。その2
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Ferret’s Tail -6-
ハーマイオニーがさっと立ちあがって辺りを見回した。ふと頭に浮かんだのは白いふわふわの毛並みに包まれてくりっと自分を見つめる青い目。
「……いるの?」
囁いたはずの声は漆黒の闇の中でいやに響く。かさり、という音がさらにして、ハーマイオニーは今度はその場所を探り当てた。グリフィンドール塔へ戻る道とは反対側、細く折れた道の角に、見なれた白い尻尾が立っていた。ハーマイオニーはその後ろ姿にゆっくりと近づいていく。さくっ、と雪を踏み分ける音がした。
その瞬間、白い尻尾がぴくりと翻り、雪を被った草むらに隠れて見えなくなった。しかしどうやら厚く積もりだした雪が邪魔して早く走れないらしい。足音はそう遠くまで言っていないようだった。
「待って!」
思わず大声を出したハーマイオニーの声が聞こえてか、雪を踏みしめる小さな音が止まる。恐る恐る近づいていくと、雪の影に隠れてあの白イタチがうずくまっていた。自分の毛並みを気にするようなそぶりを見せ、背を向けている。しかしハーマイオニーがそっと手を伸ばして抱き上げると大人しく従った。
「あなた、随分冷たくなっちゃってるわ。どれくらいここに…………!」
冷えた白イタチの体を両手で包んで温めながら、ハーマイオニーの頭に一つの可能性がよぎった。大人しく自分の手に収まる生き物を見下ろして、震えた声で訊ねる。
「もしかして……聞いてた?」
ぴくん、と耳が動いたが、それ以外は特に何の反応も示さない。ハーマイオニーにとってはそれが答えだった。意地っ張りで天の邪鬼な彼はこういうふうにしか気持ちを表してくれない。こんな些細な反応でもそれがすべてだった。
「そう……気付かなくてごめんなさい」
もちろん何の反応も返さず毛並みを整え続けている白イタチだったが、ハーマイオニーはその頭を軽く撫でて構わず続けた。
「私、たぶんロンのことが好きなの。……いえ、たぶんじゃないわ。絶対、よ」
今まで何度もそうしてきたように白いふわふわな毛を撫でていると、心の奥に埋まっていた想いが解けだしていくようだった。読んだ本の内容を話して聞かせているかのように、穏やかな声で、何かを思い出すように言葉を紡ぐ。
「あの大家族の末っ子っぽいわがままなところとか、勉強はすぐ私に頼ってくるところとか、目を離すと何を仕出かすかわからないところとか、本当に困るのよね。でもクィディッチを見てる時、やってる時の楽しそうな顔、時々びっくりするくらい勇敢なところ、もう一緒にいすぎて当たり前になっちゃったけど、やっぱりドキドキするんだもの。だから、やっとだわ、って思ったの。ゆっくり考えてくれて構わない、なんて言ってたけど、彼に返す答えなんてとっくに決まってたのよ。なのに……」
背中を撫でるリズムが止まって、白イタチは顔を上げた。ハーマイオニーがはぁっとため息を落として俯く。
「何も言えなかった……」
青い瞳が見上げた先には少し潤んだ茶色の瞳がある。今夜初めて、二人の視線が繋がった。
「真剣な声で黙れって言われて、急にキスされて、なんだか怖くなっちゃったの。今まで私が見てきた彼じゃないみたいで。……私、バカみたいね。ずっと一緒にいて、ロンのこと知ってるつもりでいて、いざとなったら怖くなった、なんて」
ハーマイオニーの声が震える。今まで大人しく彼女の手の中で丸まっていた白イタチがもぞもぞと動き出したかと思うと、腕を伝って肩まで上ってきた。
「…? どうしたの?」
顔をそちらに向けようとするハーマイオニーの頬を白イタチがぺろりと舐めた。驚いて頬に手をやって初めて、ハーマイオニーは自分が涙を流していることに気がついた。白イタチはその涙を拭うように舌を走らせている。ハーマイオニーはくずぐったさに少し笑いをこぼし、もう片方の頬を自分の手で拭うと、肩に乗った白イタチをその手に包んで顔の前まで持ち上げた。
「あなたもしかして、慰めてくれてる?」
キュウ、と短く鳴く。どうやらそれが答えのようだった。
「ありがとう。あなたを目の前にすると気持ちがすっきりするわね。心の中の自分でわからなかった想いを整理出来たみたい。もう少し、ゆっくり考えてみることにするわ」
白イタチはくりくりした青い目でじっとハーマイオニーを見つめている。ハーマイオニーはくすりと笑って彼を雪の積もっていない、城の入口に下ろす。
「さ、もう寒いから帰りなさい。私は場所を知らないから連れて行けないし……それに地下室は寒いからイヤ」
その言葉にぴくりと反応した白イタチはハーマイオニーの手の甲に鼻先を一瞬押し当てて城の中へと消えていった。ハーマイオニーはきょとんとしてその後ろ姿を見つめる。少し濡れた感触の残る手の甲をもう片方で覆い、もう一度くすりと笑いをこぼした。
「まったく……紳士の気質は備わってるのね」
そうして城の中の白イタチとは反対側、グリフィンドールの寮へ向かって足を速めていった。
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***
ロンのことを切々と語るハーちゃんは書いてる方が恥ずかしくなった…。
イタチちゃんは切ないっすね。
それでも涙をぬぐってあげるところ、
手の甲にちゅーするところ(あれはちゅーなのよ!笑)、
どこまでも彼の中に優しさというものを残したかったのです。
…ヤマなしオチなし。もうそろそろ終わります(ぇ)
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ロンのことを切々と語るハーちゃんは書いてる方が恥ずかしくなった…。
イタチちゃんは切ないっすね。
それでも涙をぬぐってあげるところ、
手の甲にちゅーするところ(あれはちゅーなのよ!笑)、
どこまでも彼の中に優しさというものを残したかったのです。
…ヤマなしオチなし。もうそろそろ終わります(ぇ)
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