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「それに…ロンは親友だもの」
「僕は?」
「え…」
「僕は君の何?」
「何、って…」
「僕は君の恋人だろう!」
 声を荒げてしまった僕にグレンジャーの身体がピクリと跳ねる。
「マ、マルフォイ。貴方、私がロンと仲良くしてたから怒ってるんでしょう? でも私にとって親友のロンも恋人の貴方も同じくらい大切な……」
「そんなことに怒ってるんじゃない!!」
 勢い余ってその細い肩を強く掴んでしまった。グレンジャーの目にみるみる涙が溜まっていくのに気付いてはっと我に返る。
「いや、悪い……」
 彼女を怖がらせてしまったという自己嫌悪に陥るのは、マルフォイ家の跡継ぎとして教えられた紳士の振舞いのせいかもしれない。それは体に染み込んで永遠に逃げられない「家柄」という呪縛を表しているようでぞっとした。
「そんなことじゃ、ないんだ」
 わかっている。ホグワーツに入学してから様々な事件を乗り越えて絆を深めた親友2人を、グレンジャーがどんなに大切に思っているかなんてわかっている。僕と彼女の間にそれが存在しないことを今さら嘆いたりしないし、彼らと過ごす時間を無理に奪おうなんて思わない。
 でも、一つだけ、どうしてもやめてほしかった。
「いつも、怖いんだ」
 僕の手が震えているのに気づいて、グレンジャーがひゅっと息を呑んだ気配がした。
「君が僕の手をすり抜けていなくなってしまう気がして」
「マルフォイ……」
 俯いた僕の頬に温かい手が触れた。それが紛れもなくグレンジャーのものだとわかって、これだけは言うまいとしていた僕のちっぽけなプライドは崩れてしまった。視界が歪んでいく。
「今日も、君に抱きつかれて真っ赤になったウィーズリーを見て、焦った。君を盗られてしまうと、そう思った」
「ロンは親友よ。そんなつもりはな……」
「でもあいつは違う!」
 抗議に顔を上げると、グレンジャーはきょとんとした目で僕を見ていた。途端、泣き顔を見られてしまった恥ずかしさで自分の頬が熱くなるのがわかる。
「君はただ喜びを表現したかっただけでも、ウィーズリーにとっては違う。……あいつは、君を好きだ。」
 目を逸らしてぽつりと呟いた。
「相手がウィーズリーなら、何も問題はないんだ。僕がマルフォイ家の長男だってことも、君がマグル出身だってことも、あいつとなら気にしなくていいんだ。だから余計に怖……」
「……ごめんなさい」
 言葉と共にグレンジャーの香りにふわりと包まれた。首筋をくすぐる言葉に体がピクリと反応する。抱きしめられているのだと気付くまでに少し思考が止まった。
「不安にさせて、ごめんなさい。でも、貴方へのこれは特別なの」
 身長差のせいで、首に回されたグレンジャーの手にはひどく力がこもっていた。爪先立ちでふらふらと震えているのに、決してその腕を離そうとせず1ミリの隙間もないようにぎゅっと体を寄せる。その近さに高鳴る心臓が、震える声に表れてしまった。
「……どう違う?」
「こんなに近くにいて、ドキドキして、苦しくて、幸せになるのは貴方だけよ」
 その言葉で必死に伝えようとした彼女の想いに至って、緊張と不安で固まっていた頬が緩んだ。たったそれだけの言葉でイライラが嘘のように消えていく。
「解決しなきゃいけない問題が山積みなのはわかってる。でも私は、逃げたりしないわ。楽な方を選んで貴方の手を離したりはしない」
 あぁそうだ。彼女はこんなにも強い。その強さに惹かれたのだと改めて思い至った。
 少し背を屈め、グレンジャーの背中に腕を回して力を込めた。痛くないくらい、でも決して離さないくらい強く。ふわふわの髪から赤い耳が覗いて、同じように真っ赤に染まっているだろう彼女の顔を想像しながらクスリと笑ってしまった。
「何よ?」
「こんなに顔を赤くするのも僕だけか?」
「……そうよ、悪い?」
 グレンジャーらしい強気な口調。
「いい。僕も同じだから」
 彼女の心地いい鼓動を感じながら、その栗色の髪に顔を埋めた。
 
 

きみがくれた存在証明

(ピンと伸びた背が、ひどく眩しかった)




*おまけ*
 
「……そろそろ離してくれない?」
「嫌だ」
「誰か来るかも…」
「約束したら離してやる」
「何?」
「あの2人に抱きつくのだけはやめてくれ」
「………」
「おい、何悩んでる」
「……でも、あれはつい、癖っていうか……」
「グレンジャー……」
「い、たい痛い痛い! じゃあ努力するわ!」
「ハーマイオニー??」
「!! わ、わかった、絶対しないわよ!!」
「ん。よかった。……」
「~~~っっ!!」
 
 
 
**********
あ、あっれー??ハー子の抱きつき癖に嫉妬するドラコを書きたかったんだけど…
やけにシリアスになってしまいました。
でもドラコって常にハー子に対して負い目を感じていると思います。
果たして自分は彼女を幸せに出来るのか??
そこで「幸せにしてやるよ!」と宣言出来ないのがヘタレなドラコ。
「そんなもの乗り越えてやるわ!」と言い切れちゃうのがハー子。
それくらいのバランスがこの二人には似合ってると思います。
ちなみに*おまけ*の最後はちゅーですw
 
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