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ほら、君はまたそうやって微笑むんだ。




相手は僕じゃない。

その笑顔は、決して僕を見ない。




僕を見て?



それが駄目なら、無理にでも見させてやるよ。
 
 
 
 
The Desirable Eyes
 
 
 
 
「ハーマイオニー、掲示板見た? 今週末ホグズミードに行けるって!」

「あら、そうなの? ……貴方もちろん行けるわよね、ロン?」

「あー……大丈夫! レポートはちゃんと終わらせるよ!」

「先に言っておきますけど、私を頼っても無駄ですから」

「え、嘘だろハーマイオニー、頼むよー……」

「だーめ!!」


グレンジャーがクスクスと笑う。

笑い声が耳につく。

イライラする。

一番遠いテーブルで彼女が笑っている。
物理的にも精神的にも、彼女は僕から遠く離れていた。
近づけるはずもなかった。

その笑顔は他のヤツに向けられる。
こっちを向いてよ?
どんな風でもいいから僕を見て?

その目に憎しみが込められていても、構わないから。




**********




ちょうどホグズミードに行く前日だった。
こんな会話を耳にしたから。


「ハーマイオニー、これからクィディッチの練習入っちゃったんだ。だから、その……」


一瞬グレンジャーの表情が曇る。
しかしウィーズリーはそれに気付いていないようだった。


「……仕方ないわね」


グレンジャーが笑顔を作って言う。


「レポートでしょう? この前も言ったけど、丸写しは駄目よ。
 必要な本を借りて談話室で待ってるから、練習終わったらやりましょう。
 ちょっとは手伝ってあげるわ」

「あ、ありがとうハーマイオニー! じゃあ行ってくる!」


チャンスだ、なんて思ってしまって。
悪いのは赤毛のほう。
彼女にあんな顔をさせるな。
大切な彼女ならば、ちゃんと守れ。

そう、僕はスリザリンだから。
狙った獲物は決して逃がさない。

図書館へ向かうグレンジャーを、そうと気付かれないように追いかけた。




**********




図書館にいる人は少なかった。
どうせ明日はホグズミードだし、天気もいいし……
図書館に用のあるものなんて、そういるはずもなかった。

グレンジャーは目的の本がどこにあるか全て把握しているようで、
何の迷いもなく一番奥の本棚へと向かう。
急いで、でも音は立てないように追いかけて、本棚の向こうへ回り込んだ。

彼女は上の方にある本を取ろうとしているようだった。
しかしいくら手を伸ばしても背伸びしても届かない。


「もう……なんで違うところに入ってるのよ……」


「これか?」


僕は後ろからひょいと手を伸ばして、恐らく目的の本だろうと思われるのを取り出した。


「え……あ、マルフォイ……」


彼女は一瞬怪訝な顔をしたが、


「珍しいのね、どうもありがとう」


機械的にそう言うと、僕の差し出した本を手に取った。
僕の脇を抜けて帰ろうとするその腕を掴む。


「ちょっと……何するの? 痛いから離して」

「もっと気持ちのこもった礼をしてほしいものだな」

「……貴方にはそれで十分よ。貴方こそ、普段から礼儀の欠片もないじゃない」

「それは心外だな。たった今、グレンジャーのために本を取ってやったのに」


腕を掴む力を少し強くすると、グレンジャーは顔をしかめた。


「どういうつもり?」

「何のことかな」

「なにか……裏があるんでしょう?」

「……へぇ、さすが学年一の優等生……」


にやりと笑って腕を強く引き、本棚と僕の間に彼女の身体を閉じ込めた。


「なかなか鋭いじゃないか」

「何……するの」


グレンジャーの目を見る。
じっと見ていると、彼女が顔を逸らした。

気に入らない。


「こっち向けよ」

「嫌」


彼女のあごに手をかけて、無理矢理僕の方に向ける。


「僕を見ろって言ってるだろ」

「一体何のつもり…っ」


煩いその口を僕のそれで塞いでやった。
逃げ惑う彼女の舌を追いかけて絡めとる。
彼女の震える手から、さっき渡したばかりの本が滑り落ちる。

長い長いキスの後、名残惜しむようにちゅっと音を立てて唇を離した。
彼女の身体から力が抜けた。


「っはぁ……どうしてっ……」


涙目のグレンジャーを一瞥する。


「どうして? イライラするんだよ、お前の笑顔を見てると」

「それ、だけ…?」

「あぁそれだけだ。……あ、あと」


ふと思い付いて、まだ握っていた彼女の腕を更に強く握った。


「痛っ」

「そういう顔、最高」

「……っ」


耳元で囁く。彼女が小さく息を呑んだ。
彼女の手を頭の上でまとめて、その白い首筋に舌を這わせる。
それだけで彼女は震えた。


「やっ!」

「静かにしておいた方がいいんじゃないか? ここは図書館だし……誰か来たら困るよな」

「……っ」


もう一度首筋を辿りながら、制服の釦をひとつ外した。
鎖骨のちょうど上あたり、制服を着ていれば見えないところを強く吸い上げる。


「……ぁ…っ」


唇を離せば白い首筋に残る紅い痕。


「何……っ」

「明日はホグズミードだって?
 こんなの愛しのウィーズリーに見られたらどうなるだろうなぁ。
 あぁ、それとも今夜の談話室で見つかるかな……」


パシッ


「最低っ!!」








叩かれて、逃げられた。


僕は暫くその場に立ち尽くす。


じんじんと痛む左頬に触れながら、自嘲的な笑みを漏らした。

最後に僕を見たグレンジャーの目には望み通り、憎しみが込められていた。
そのはずなのに、この心はちっとも満足しない。
初めてグレンジャーにまともに殴られたあの時より、何倍も痛かった。


本棚に寄りかかって、そのままズルズルと座り込む。
グレンジャーが借りるはずだった本が手に当たった。
それを引き寄せて握り締める。


「僕は一体……何をしているんだ……」



なぜか涙が溢れて止まらなかった。




***Fin.***

加筆修正あり。
ロンハー前提ドラハー……黒っ!ドラコ黒っ!!しかも微裏な気がしてならない…
でも書いてるうちにちょっと楽しくなってしまった私はオカシイと思う(汗)
特に加筆した「その顔、最高」のあたりでテンション上がってしまいました。
久しぶりに読んだらちょっと続き書いてみたくなったな……。
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