思うがままにつづったこころの中。その2
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Ferret’s Tail -5-
しかし奇妙な一人と一匹の時間はそれからなかなか訪れなかった。その一番の原因はハーマイオニーが忙しさに追われて中庭で読書をする時間を取れなかったからだ。ハリーはヴォルデモートの力が強まっていると訴え、またその頭の中に入り込んで誰かを探し彷徨う光景を見たと告げた。ロンと二人であれこれ仮説を立てるハリーに「心を閉じなさい!」と何度怒鳴ったことだろうか。彼らと議論している時間の方が一人で過ごす時間より確実に長くなっていった。ハーマイオニーもはじめのうちは白イタチのことを気にしていたが、だんだんそんな余裕もなくなっていった。
そんな風に忙しい日々に追われていた頃、ハーマイオニーは久しぶりに中庭へ足を踏み入れたのだった。
「春ももうすぐかしら」
ふと、城と中庭の境に咲くスノードロップに目を落とす。すぅっと手を伸ばしてその元を手折ると、杖を出して魔法を唱えた。一瞬スノードロップの周りに雪の結晶のような細かく輝くものが舞ったが、花そのものに大きな変化は見られない。
「何の魔法をかけたのさ?」
唐突に背後からかけられた声にさっと振り向く。そこにいたのはいつの間にか見上げなければ目を合わせられないくらい成長した大切な親友の一人だった。
「あら、ロン。どうしたの? さっきハリーと暖炉の前で話し込んでたじゃない」
「そうなんだけど……」
赤毛の少年はその髪をかきながら答えた。
「ハーマイオニーがどこ行ったのかと思って」
頬が心なしか染まっている。ハーマイオニーはきょとんとしてその顔を見つめた。それじゃあロンが自分のことを気にかけてくれたと言っているようなものじゃないか。こんな時に働かない頭をフル回転させようとした……が。
「ちょっと座ろう」
急にハーマイオニーは手を引かれて、一番近くにあるベンチまで連れていかれた。されるがままにロンの隣に腰を落とす。
「あ、あの…ロン…」
「で、さっきのは何?」
「え?」
「だからさっきその花にかけた魔法。見た感じ何も変わってないみたいだけど」
何も気にしていないようにいつもの調子で問いかけるロンに、ハーマイオニーは戸惑いながら答えた。
「え、えぇ、これね……時間を止める魔法よ」
「え? でも言ってたじゃないか。魔法使いでも時の流れを変えることはできないって」
「正確にはちょっと凍らせただけ。プリザーブドフラワーみたいなものかしら」
「プリザーブドフラワー? 何だよ、それ」
ロンは眉間にしわを寄せて、初めて耳にしたらしい言葉を言いにくそうに発音した。いつも通りの会話の流れに乗って、ハーマイオニーもいつものように流暢に答え始める。
「あら、マグルだけのやり方なのかしら? 切り花をより長い間もたせる方法よ」
「へぇ。俺んちではだいたい魔法薬で済ませるなぁ。それ、どうやるの? 今度教えてよ。母さんがいつも俺に世話を任せるから苦労してたんだ」
「そうね、きっとおばさまなら喜んでくれうと思うわ」
ハーマイオニーがくすりと笑う。それを見てロンも嬉しそうに顔をほころばせた。
2月の冷たい風に乗って白が舞う。
ハーマイオニーが漆黒の空に向かって指をさし、つられてロンが顔を上げた。
「今年最後の雪かもしれないわ」
「そうかもな。それ、もしかしてそういう花?」
ロンがハーマイオニーの手に握られた白い花を指差す。
「えぇ。この花が咲くと春が近い証なんですって」
「ふぅん。……でも、まだ寒いから春は当分来ないんじゃない?」
ロンのその言葉にハーマイオニーははっとして慌ててローブから杖を取り出した。
「寒い?」
「……ちょっと?」
「気付かなくてごめんなさい! 今火を作るから待って……」
「いいよ、これで」
ハーマイオニーの体がぽすんと倒れる。肩にロンの大きな手が回され、火を出そうとして上げた杖は振られずに膝の上に落とされた。
「ロン……?」
「いいだろ。これでも十分あったかいんだから」
「でも……」
ロンの空いた手が頬にスッと伸ばされて、ハーマイオニーはわずかに体を強張らせる。
「つめた……」
そのまま大きな手で包み込むとハーマイオニーの顔を上げさせる。ロンの顔が近づいてきてハーマイオニーは焦り出した。
「ちょ、ちょっと」
「イヤ?」
「そんなんじゃ……」
「じゃあ黙って」
親友だと思っていた彼の今まで聞いたことのない真剣な声に戸惑っていたら、軽いキスが落とされた。
「……っ」
ハーマイオニーは真っ赤になってロンから顔を遠ざける。吐く息が震えていた。
二人の間を風が走った。冷たいはずの風が、ちっとも冷たく感じない。
「もし本当に嫌だったなら謝る」
背後からロンの声が聞こえた。
「でも……俺は本気だから」
ハーマイオニーの体がぴくんと震えた。積り始めた雪を踏みしめる音が微かに聞こえて、ぽすんと温かい手が頭に置かれた。見上げるとロンが隣で空を見上げるように立っていた。
「本当はもっと色々考えてたんだけど……急にごめん」
振り向いてハーマイオニーの目を捉えて続ける。
「別に今すぐどうしろとか言わないから。ゆっくり考えてもらって構わない」
答えを返せないハーマイオニーの頭をもう一度軽くぽんと叩くと、「寒っ」と言いながらローブを丸めこんで城に戻っていった。
ハーマイオニーはしばらくその後ろ姿に目を向ける。薄々そんな気はしていたし、自分でもそうなればいいと思っていた。でもいざ目の前にして言われるとまだ心が混乱していた。ロンの姿が見えなくなった城から目を離して、今度は空を見上げる。
「答えなんて、決まってるじゃない……」
でもロンにすぐ答えを返せなかったのはなぜ。この心に渦巻いている霧は何なのか。そう考えてはぁ、っと大きなため息を落とす。それは白い霧となってすぐに消えてしまった。
その時。しゃく、という微かな雪を踏み分ける音が聞こえた。
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***
うわぁーロンハー!しかも あ ま す ぎ る ! !
ごめんねごめん、Mieはドラハー至上主義なんだよ。
でもストーリーの都合上どうしようもなかったんだ。
ていうか全体を通してロン→←ハー←ドラな空気が漂ってるんだ。
「Nora」の切なさが叶わぬ恋のドラ→ハーに重なっちゃったんだ…。
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うわぁーロンハー!しかも あ ま す ぎ る ! !
ごめんねごめん、Mieはドラハー至上主義なんだよ。
でもストーリーの都合上どうしようもなかったんだ。
ていうか全体を通してロン→←ハー←ドラな空気が漂ってるんだ。
「Nora」の切なさが叶わぬ恋のドラ→ハーに重なっちゃったんだ…。
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