思うがままにつづったこころの中。その2
+
あらゆるジャンルの二次Novel。まずはお知らせをチェック!
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「あっ、もう……」
新学期の初日、ホグワーツへと向かう列車のとあるコンパートメントの中。羊皮紙に何度目かの大きなシミを作ったハーマイオニーが声をあげた。
「また書き直し! どうして魔法の世界なのにこう面倒なの。こんなの紙とボールペンでいいじゃない!」
「……おい、ハリー」
向かい側でイライラするハーマイオニーを見ながら、ロンがハリーに隣に耳打ちした。
「何?」
「ハーマイオニー、さっきからやけに機嫌悪くないか? 列車に乗るまでは普通だったのに……一体何があったんだ?」
「……」
日刊預言者新聞の影からハーマイオニーの様子を見て、ハリーは少し考える。列車に乗ってからこのコンパートメントに着くまでに見た光景を思い出して、あぁ、と小さく声を上げた。その僅かな反応もロンは見逃さない。
「お、知ってるのか?」
「まぁ、心当たりがないわけじゃないんだけど……」
「言ってみろよ」
「でも間違ってたらハーマイオニーに悪いし」
「いいから」
ある種の好奇心で目を輝かせているロンに、少し思案するような顔をするとハリーはにっこり笑いかけた。
「やっぱり内緒だ」
「何だよ、それ。知ってるんだろ? ちょっとくらい教えてくれても……」
「ちょっと二人とも! 何コソコソしてるの!」
知らないうちに声のボリュームを上げてしまったロンは固まった。羊皮紙から顔を上げたハーマイオニーの目が二人を睨みつけている。どうやら彼女のイライラの矛先が、羊皮紙から目の前の二人の親友へと移ってしまったようだ。
「あ、えっと……」
「君のイライラしてるわけをロンが知りたいんだって」
「ばっ…ハリー!!」
慌てるロンの右には黒髪の少年の満面の笑み、左には目の吊り上がった栗色の髪の少女。
「ロンには関係のないことでしょう!!」
予想通りハーマイオニーの雷が落ちた。勉強道具をまとめるとコンパートメントを出ていってしまう。
あっけにとられたロンの隣で、ほらね、とハリーが囁いた。半分は君のせいだろう、とロンが冷たい視線を送ったが、彼は肩をすくめて再び日刊預言者新聞に隠れてしまった。ロンは仕方なくハリーへの抗議を諦めて、座席に深く座り込むと窓の外に流れるイングランドの町並みに目をやる。
「なんで僕だけ怒られるんだよ……」
はぁっと大きくため息をついた。
**********
「八つ当たりなんて私らしくない……」
その頃、二人の姿が見えなくなったところでハーマイオニーはロンと同じような思い息を吐いていた。
他の誰かと笑わないで
(慣れていた、はずだったのに)
**********
全然ドラコ出てなくて申し訳ない。
ちゃんと終わるといいな……(ぇ。
PR
「……何よ?」
視線を感じて、ハーマイオニーは読んでいた本のページをめくる手を止めた。右隣を見上げると、視線の先にはほんの少しの驚愕を秘めたアイスブルーの瞳。ハーマイオニーの茶色の瞳とかち合ったそれは、ふるると揺れて視線を逸らした。
「いや……」
何でもない、というふうに答えるドラコに、気付かれたかな、とハーマイオニーの胸が跳ねる。少し早くなるそれがばれないように、ハーマイオニーは声を落とし、本に視線を戻した。
「…嘘よ、貴方さっきから見てたじゃない」
「……」
「何なのよ。おかげで集中でき…」
「ハーマイオニー」
文句の言葉を遮ってドラコがハーマイオニーの名前を呼んだ。その強い声にハーマイオニーの肩がピクリと揺れる。同時にすっと白い指が頬へ伸びてきて、俯くハーマイオニーの顔を無理矢理自分の方に向けさせた。
「な、何っ…」
もう一度かち合ったアイスブルーの瞳から逃れたかったのに、頬に添えられた彼の手がそれを許さない。さっき自分は逃げたくせにずるい、とその瞳を睨む。
でも次に聞こえた声にハーマイオニーはぽっと頬を染めた。
「お前もしかして、化粧してる…か?」
わかりやすすぎる彼女の反応に、ドラコは口元を綻ばせた。
「やっぱり……」
「ち、違うの!」
ドラコの反応に何を思ったのか、ハーマイオニーは必死で否定する。恥ずかしさからその目には零れそうな涙が溜まっていく。
「ラベンダーたちに無理矢理させられて……私はいやだって言ったのよ? でもやっぱり断るべきだったわ!どうせ似合ってな…」
「綺麗だ」
「え……」
「すごく、綺麗だ」
ドラコがふわりと笑った。その姿にハーマイオニーは思わず見とれてしまう。
「…っ」
「何?」
「やっ…だって急にそんなこと言うから」
ハーマイオニーの瞳から零れた涙をドラコの指がぬぐう。そのまますっと顔を寄せると、濡れた瞼にキスを落とした。
「本当のことだ」
目元に落とされたドラコの言葉に、ハーマイオニーは睫毛を震わせる。そんな彼女の反応を見たドラコは、何かを思いついたようにニヤリと笑った。不幸なことに、それはハーマイオニーの視界には入らない。
「あぁ、でもせっかく綺麗にしてもらって悪いが…」
ドラコはグロスが薄くのった唇にすっと指を這わせると、
「落ちてしまうな」
「…っ!」
とっさに身を引いたハーマイオニーの頭を引き寄せて、口付けた。
いつもと違うきみだったから
(ただし僕の前だけにしろ)
******
ヤマなしオチなしごめんなさい。
かなり前に、もっと長いお話の一部になる予定で書いたドラハ。
色々面倒だったのでこの場面だけ切りとってしまいました。
甘いドラハ!珍しいね!
君とここに二人で来るのは去年のクリスマス以来。あれから半年季節が進んだ今は、夜の風も心地いいくらいになっていた。もうマフラーを二人で分けあうことも、ローブで囲って君を温めることも、必要ない。僕らは二人で中庭に置かれたベンチに座り、月の光は半年前と同じように僕らに降り注いでいた。
ここは二人の思い出の場所だから、君が少し緊張しているだろうこともわかった。見えなくてもそんな気がした。きっと君は聡いから、僕がこの1年やってきたことも、そしてこれから何をするつもりなのかも、なんとなく分かっているのだろう。
僕ははぁっと一つ溜め息をつくと、漸く口を開いた。
「ハーマイオニー」
告げた名前は決して白く溶けることはなく、ただ夏の夜空に響いていく。
「僕はもう…」
君が隣でぴくっと肩を揺らしたが、それには気付かないふりをした。固より、君の声を聞く気はなかった。口を挟まれる前に、一気に言ってしまわないと意味がなかった。
「ここには戻らない。どう抗っても無理だったみたいだ。だからもう君とは会…」
「ドラコ」
小さく響いた君の声に遮られて、僕はひゅっと息を呑んだ。君の手が僕の口に伸びてきて、もうこれ以上何も言えないようにと指を立てる。
「会わないなんて言わないで」
その手が優しく頬をすべる。
「貴方は、独りじゃないわ」
ふわりと微笑みを落とした君の声は、それでも少し震えていた。そうしてそのまますぅっと身を乗り出すと、小さなキスを落とした。ほんの一瞬ふれただけなのに、そこから温かさが伝わってきて、僕は知らず詰めていた息を吐いた。
「……こんなのは僕の望んだことじゃないんだ」
「うん」
「絶対にヤツの言い成りにはならないって」
「わかってる」
「でも……まさか母上を人質に取られるなんて思わなかった」
「…そうだったの」
言うつもりのなかったことまで零していた。ぽつりぽつりと吐きだす僕の言葉に、君はただ相槌を打つだけだった。
「君と僕の繋がりが分かれば、ヤツらの標的に君も加わる」
「そうね……でも自分の身は自分で守るわ。私は逃げ回るお姫様じゃないの」
ハリーの傍にいたらどっちにしろ同じよ、と笑って付け加える。僕はその名前に少し顔を歪ませたけれど、君はまるで気付かない。
「会わないなんて言われる方がよっぽど苦しいわ」
その声はあまりに切ない。それに…という君の声と共にぎゅっと抱きしめられた。
「貴方は私が絶対に助け出す。独りじゃないわ、ドラコ」
「それじゃまるで僕がお姫様だな」
小さく笑って、閉じ込めるように君の背に手を回した。その温もりを刻み込むように強く目を瞑る。二度も奏でられた君の言葉に、瞼の裏が熱くなるのがわかった。
明日目覚めたときに僕がいないと知ったら、君は泣き叫ぶだろうか。きっと何一つ知らないフリであの二人に笑いかけ、一人きりの部屋で泣くのだろう。
ハーマイオニー。
僕は君に助けられるために行くんじゃない。君を助けるために行くよ。
最後にどうしても言えなかった想いを―――
ごめん/君に謝りたかったこと
(―――どうか許して)
******
5年生設定ドラハ。ちょいと捏造。出来るだけ短い作品を作りたかったのです。
どんな話にするか全く決めてなかったのですが、結果的に悲恋になってしまいましたーごめんなさい。
ハー子たちの戦いを少しでも楽にするためにドラコは行くのです。それを言えなくてごめんね、って。
あと個人的に、ドラコにはナルシッサを大事にしてほしいです。
ほら、君はまたそうやって微笑むんだ。
相手は僕じゃない。
その笑顔は、決して僕を見ない。
僕を見て?
それが駄目なら、無理にでも見させてやるよ。
The Desirable Eyes
「ハーマイオニー、掲示板見た? 今週末ホグズミードに行けるって!」
「あら、そうなの? ……貴方もちろん行けるわよね、ロン?」
「あー……大丈夫! レポートはちゃんと終わらせるよ!」
「先に言っておきますけど、私を頼っても無駄ですから」
「え、嘘だろハーマイオニー、頼むよー……」
「だーめ!!」
グレンジャーがクスクスと笑う。
笑い声が耳につく。
イライラする。
一番遠いテーブルで彼女が笑っている。
物理的にも精神的にも、彼女は僕から遠く離れていた。
近づけるはずもなかった。
その笑顔は他のヤツに向けられる。
こっちを向いてよ?
どんな風でもいいから僕を見て?
その目に憎しみが込められていても、構わないから。
**********
ちょうどホグズミードに行く前日だった。
こんな会話を耳にしたから。
「ハーマイオニー、これからクィディッチの練習入っちゃったんだ。だから、その……」
一瞬グレンジャーの表情が曇る。
しかしウィーズリーはそれに気付いていないようだった。
「……仕方ないわね」
グレンジャーが笑顔を作って言う。
「レポートでしょう? この前も言ったけど、丸写しは駄目よ。
必要な本を借りて談話室で待ってるから、練習終わったらやりましょう。
ちょっとは手伝ってあげるわ」
「あ、ありがとうハーマイオニー! じゃあ行ってくる!」
チャンスだ、なんて思ってしまって。
悪いのは赤毛のほう。
彼女にあんな顔をさせるな。
大切な彼女ならば、ちゃんと守れ。
そう、僕はスリザリンだから。
狙った獲物は決して逃がさない。
図書館へ向かうグレンジャーを、そうと気付かれないように追いかけた。
**********
図書館にいる人は少なかった。
どうせ明日はホグズミードだし、天気もいいし……
図書館に用のあるものなんて、そういるはずもなかった。
グレンジャーは目的の本がどこにあるか全て把握しているようで、
何の迷いもなく一番奥の本棚へと向かう。
急いで、でも音は立てないように追いかけて、本棚の向こうへ回り込んだ。
彼女は上の方にある本を取ろうとしているようだった。
しかしいくら手を伸ばしても背伸びしても届かない。
「もう……なんで違うところに入ってるのよ……」
「これか?」
僕は後ろからひょいと手を伸ばして、恐らく目的の本だろうと思われるのを取り出した。
「え……あ、マルフォイ……」
彼女は一瞬怪訝な顔をしたが、
「珍しいのね、どうもありがとう」
機械的にそう言うと、僕の差し出した本を手に取った。
僕の脇を抜けて帰ろうとするその腕を掴む。
「ちょっと……何するの? 痛いから離して」
「もっと気持ちのこもった礼をしてほしいものだな」
「……貴方にはそれで十分よ。貴方こそ、普段から礼儀の欠片もないじゃない」
「それは心外だな。たった今、グレンジャーのために本を取ってやったのに」
腕を掴む力を少し強くすると、グレンジャーは顔をしかめた。
「どういうつもり?」
「何のことかな」
「なにか……裏があるんでしょう?」
「……へぇ、さすが学年一の優等生……」
にやりと笑って腕を強く引き、本棚と僕の間に彼女の身体を閉じ込めた。
「なかなか鋭いじゃないか」
「何……するの」
グレンジャーの目を見る。
じっと見ていると、彼女が顔を逸らした。
気に入らない。
「こっち向けよ」
「嫌」
彼女のあごに手をかけて、無理矢理僕の方に向ける。
「僕を見ろって言ってるだろ」
「一体何のつもり…っ」
煩いその口を僕のそれで塞いでやった。
逃げ惑う彼女の舌を追いかけて絡めとる。
彼女の震える手から、さっき渡したばかりの本が滑り落ちる。
長い長いキスの後、名残惜しむようにちゅっと音を立てて唇を離した。
彼女の身体から力が抜けた。
「っはぁ……どうしてっ……」
涙目のグレンジャーを一瞥する。
「どうして? イライラするんだよ、お前の笑顔を見てると」
「それ、だけ…?」
「あぁそれだけだ。……あ、あと」
ふと思い付いて、まだ握っていた彼女の腕を更に強く握った。
「痛っ」
「そういう顔、最高」
「……っ」
耳元で囁く。彼女が小さく息を呑んだ。
彼女の手を頭の上でまとめて、その白い首筋に舌を這わせる。
それだけで彼女は震えた。
「やっ!」
「静かにしておいた方がいいんじゃないか? ここは図書館だし……誰か来たら困るよな」
「……っ」
もう一度首筋を辿りながら、制服の釦をひとつ外した。
鎖骨のちょうど上あたり、制服を着ていれば見えないところを強く吸い上げる。
「……ぁ…っ」
唇を離せば白い首筋に残る紅い痕。
「何……っ」
「明日はホグズミードだって?
こんなの愛しのウィーズリーに見られたらどうなるだろうなぁ。
あぁ、それとも今夜の談話室で見つかるかな……」
パシッ
「最低っ!!」
・
・
・
・
・
叩かれて、逃げられた。
僕は暫くその場に立ち尽くす。
じんじんと痛む左頬に触れながら、自嘲的な笑みを漏らした。
最後に僕を見たグレンジャーの目には望み通り、憎しみが込められていた。
そのはずなのに、この心はちっとも満足しない。
初めてグレンジャーにまともに殴られたあの時より、何倍も痛かった。
本棚に寄りかかって、そのままズルズルと座り込む。
グレンジャーが借りるはずだった本が手に当たった。
それを引き寄せて握り締める。
「僕は一体……何をしているんだ……」
なぜか涙が溢れて止まらなかった。
***Fin.***
加筆修正あり。
ロンハー前提ドラハー……黒っ!ドラコ黒っ!!しかも微裏な気がしてならない…
でも書いてるうちにちょっと楽しくなってしまった私はオカシイと思う(汗)
特に加筆した「その顔、最高」のあたりでテンション上がってしまいました。
久しぶりに読んだらちょっと続き書いてみたくなったな……。
相手は僕じゃない。
その笑顔は、決して僕を見ない。
僕を見て?
それが駄目なら、無理にでも見させてやるよ。
The Desirable Eyes
「ハーマイオニー、掲示板見た? 今週末ホグズミードに行けるって!」
「あら、そうなの? ……貴方もちろん行けるわよね、ロン?」
「あー……大丈夫! レポートはちゃんと終わらせるよ!」
「先に言っておきますけど、私を頼っても無駄ですから」
「え、嘘だろハーマイオニー、頼むよー……」
「だーめ!!」
グレンジャーがクスクスと笑う。
笑い声が耳につく。
イライラする。
一番遠いテーブルで彼女が笑っている。
物理的にも精神的にも、彼女は僕から遠く離れていた。
近づけるはずもなかった。
その笑顔は他のヤツに向けられる。
こっちを向いてよ?
どんな風でもいいから僕を見て?
その目に憎しみが込められていても、構わないから。
**********
ちょうどホグズミードに行く前日だった。
こんな会話を耳にしたから。
「ハーマイオニー、これからクィディッチの練習入っちゃったんだ。だから、その……」
一瞬グレンジャーの表情が曇る。
しかしウィーズリーはそれに気付いていないようだった。
「……仕方ないわね」
グレンジャーが笑顔を作って言う。
「レポートでしょう? この前も言ったけど、丸写しは駄目よ。
必要な本を借りて談話室で待ってるから、練習終わったらやりましょう。
ちょっとは手伝ってあげるわ」
「あ、ありがとうハーマイオニー! じゃあ行ってくる!」
チャンスだ、なんて思ってしまって。
悪いのは赤毛のほう。
彼女にあんな顔をさせるな。
大切な彼女ならば、ちゃんと守れ。
そう、僕はスリザリンだから。
狙った獲物は決して逃がさない。
図書館へ向かうグレンジャーを、そうと気付かれないように追いかけた。
**********
図書館にいる人は少なかった。
どうせ明日はホグズミードだし、天気もいいし……
図書館に用のあるものなんて、そういるはずもなかった。
グレンジャーは目的の本がどこにあるか全て把握しているようで、
何の迷いもなく一番奥の本棚へと向かう。
急いで、でも音は立てないように追いかけて、本棚の向こうへ回り込んだ。
彼女は上の方にある本を取ろうとしているようだった。
しかしいくら手を伸ばしても背伸びしても届かない。
「もう……なんで違うところに入ってるのよ……」
「これか?」
僕は後ろからひょいと手を伸ばして、恐らく目的の本だろうと思われるのを取り出した。
「え……あ、マルフォイ……」
彼女は一瞬怪訝な顔をしたが、
「珍しいのね、どうもありがとう」
機械的にそう言うと、僕の差し出した本を手に取った。
僕の脇を抜けて帰ろうとするその腕を掴む。
「ちょっと……何するの? 痛いから離して」
「もっと気持ちのこもった礼をしてほしいものだな」
「……貴方にはそれで十分よ。貴方こそ、普段から礼儀の欠片もないじゃない」
「それは心外だな。たった今、グレンジャーのために本を取ってやったのに」
腕を掴む力を少し強くすると、グレンジャーは顔をしかめた。
「どういうつもり?」
「何のことかな」
「なにか……裏があるんでしょう?」
「……へぇ、さすが学年一の優等生……」
にやりと笑って腕を強く引き、本棚と僕の間に彼女の身体を閉じ込めた。
「なかなか鋭いじゃないか」
「何……するの」
グレンジャーの目を見る。
じっと見ていると、彼女が顔を逸らした。
気に入らない。
「こっち向けよ」
「嫌」
彼女のあごに手をかけて、無理矢理僕の方に向ける。
「僕を見ろって言ってるだろ」
「一体何のつもり…っ」
煩いその口を僕のそれで塞いでやった。
逃げ惑う彼女の舌を追いかけて絡めとる。
彼女の震える手から、さっき渡したばかりの本が滑り落ちる。
長い長いキスの後、名残惜しむようにちゅっと音を立てて唇を離した。
彼女の身体から力が抜けた。
「っはぁ……どうしてっ……」
涙目のグレンジャーを一瞥する。
「どうして? イライラするんだよ、お前の笑顔を見てると」
「それ、だけ…?」
「あぁそれだけだ。……あ、あと」
ふと思い付いて、まだ握っていた彼女の腕を更に強く握った。
「痛っ」
「そういう顔、最高」
「……っ」
耳元で囁く。彼女が小さく息を呑んだ。
彼女の手を頭の上でまとめて、その白い首筋に舌を這わせる。
それだけで彼女は震えた。
「やっ!」
「静かにしておいた方がいいんじゃないか? ここは図書館だし……誰か来たら困るよな」
「……っ」
もう一度首筋を辿りながら、制服の釦をひとつ外した。
鎖骨のちょうど上あたり、制服を着ていれば見えないところを強く吸い上げる。
「……ぁ…っ」
唇を離せば白い首筋に残る紅い痕。
「何……っ」
「明日はホグズミードだって?
こんなの愛しのウィーズリーに見られたらどうなるだろうなぁ。
あぁ、それとも今夜の談話室で見つかるかな……」
パシッ
「最低っ!!」
・
・
・
・
・
叩かれて、逃げられた。
僕は暫くその場に立ち尽くす。
じんじんと痛む左頬に触れながら、自嘲的な笑みを漏らした。
最後に僕を見たグレンジャーの目には望み通り、憎しみが込められていた。
そのはずなのに、この心はちっとも満足しない。
初めてグレンジャーにまともに殴られたあの時より、何倍も痛かった。
本棚に寄りかかって、そのままズルズルと座り込む。
グレンジャーが借りるはずだった本が手に当たった。
それを引き寄せて握り締める。
「僕は一体……何をしているんだ……」
なぜか涙が溢れて止まらなかった。
***Fin.***
加筆修正あり。
ロンハー前提ドラハー……黒っ!ドラコ黒っ!!しかも微裏な気がしてならない…
でも書いてるうちにちょっと楽しくなってしまった私はオカシイと思う(汗)
特に加筆した「その顔、最高」のあたりでテンション上がってしまいました。
久しぶりに読んだらちょっと続き書いてみたくなったな……。
Call My Name
「だーめ!!」
グレンジャーにいつも通り会って、
グレンジャーにいつも通りキスしようとしたら、
拒まれた。
普通に、焦る。
…嫌われた?
「グレンジャー、一体どうしたんだ?」
「『ハーマイオニー』」
「え?」
「だから、ハーマイオニーって呼んで?
名前で呼んでくれたらキスしてもいいって言ってるの」
「ちょっ、……何だって?」
「だって貴方、いつまでたってもファーストネームで呼んでくれないんだもの。
私はちゃんとドラコって呼んでるのに。
だから決めたの! 貴方がハーマイオニーって呼んでくれるまでキス禁止!!」
そういって人差し指を突きつけるグレンジャーの顔には満面の笑み。
…さてどうする。
「そういうことだから。よろしくね? マルフォイ」
ついでにファミリーネームで呼ばれた。
完全に遊ばれている。
どうするどうするどうする。
彼女をハーマイオニーと呼ぶのは
恥ずかしい。
恥ずかしいけどそれ以上に
彼女に「キス禁止!」と言われたのが。
それだけで動揺してしまう、それだけ彼女に夢中になってしまった自分が。
僕らしくなくて。
悔しい。
となればどうするか……答えは一つ。
彼女のその得意げな顔も、もうおしまい。
軽く咳払いをして見上げた。
にやりと笑って一言。
「ハーマイオニー?」
「っ!!」
ほら、思った通り。
彼女の顔がぽっと赤く染まる。
「ハーマイオニー」
「きゃっ」
ついでに彼女を抱き寄せた。
名前で呼んだんだから、僕の思い通りにさせてもらう。
・
・
・
「ちょっ…もう! 何ですぐに言うこときくのよ!」
「キスしたかったから。
ついでに言っておくが、あんなことで僕に勝てると思ったら大間違いだな」
「…だって、こうでもしないと一生呼んでくれないと思ったんだもの」
「ならいくらでも呼んでやる。
…でもそんなに呼んだら、キスじゃ足りないだろうな」
「ちょっ、ドラコっ!~~~!!」
ハーマイオニー。
なんていくらでも呼んでやるよ。
それで君が僕の傍にいてくれるなら。
君の笑顔を一つでも多く見られるなら。
『君のいない未来』という存在を、一瞬でも忘れられるなら………
***Fin.***
前サイトの拍手。「名前で呼んでよ」というだけのお話。
結局ハー子はドラコに敵わないってことです。
どうしてもシリアス気味で終わってしまうドラハ……。
若干の加筆修正あり。
「だーめ!!」
グレンジャーにいつも通り会って、
グレンジャーにいつも通りキスしようとしたら、
拒まれた。
普通に、焦る。
…嫌われた?
「グレンジャー、一体どうしたんだ?」
「『ハーマイオニー』」
「え?」
「だから、ハーマイオニーって呼んで?
名前で呼んでくれたらキスしてもいいって言ってるの」
「ちょっ、……何だって?」
「だって貴方、いつまでたってもファーストネームで呼んでくれないんだもの。
私はちゃんとドラコって呼んでるのに。
だから決めたの! 貴方がハーマイオニーって呼んでくれるまでキス禁止!!」
そういって人差し指を突きつけるグレンジャーの顔には満面の笑み。
…さてどうする。
「そういうことだから。よろしくね? マルフォイ」
ついでにファミリーネームで呼ばれた。
完全に遊ばれている。
どうするどうするどうする。
彼女をハーマイオニーと呼ぶのは
恥ずかしい。
恥ずかしいけどそれ以上に
彼女に「キス禁止!」と言われたのが。
それだけで動揺してしまう、それだけ彼女に夢中になってしまった自分が。
僕らしくなくて。
悔しい。
となればどうするか……答えは一つ。
彼女のその得意げな顔も、もうおしまい。
軽く咳払いをして見上げた。
にやりと笑って一言。
「ハーマイオニー?」
「っ!!」
ほら、思った通り。
彼女の顔がぽっと赤く染まる。
「ハーマイオニー」
「きゃっ」
ついでに彼女を抱き寄せた。
名前で呼んだんだから、僕の思い通りにさせてもらう。
・
・
・
「ちょっ…もう! 何ですぐに言うこときくのよ!」
「キスしたかったから。
ついでに言っておくが、あんなことで僕に勝てると思ったら大間違いだな」
「…だって、こうでもしないと一生呼んでくれないと思ったんだもの」
「ならいくらでも呼んでやる。
…でもそんなに呼んだら、キスじゃ足りないだろうな」
「ちょっ、ドラコっ!~~~!!」
ハーマイオニー。
なんていくらでも呼んでやるよ。
それで君が僕の傍にいてくれるなら。
君の笑顔を一つでも多く見られるなら。
『君のいない未来』という存在を、一瞬でも忘れられるなら………
***Fin.***
前サイトの拍手。「名前で呼んでよ」というだけのお話。
結局ハー子はドラコに敵わないってことです。
どうしてもシリアス気味で終わってしまうドラハ……。
若干の加筆修正あり。